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民間伝承としての藍の効用について

 

「藍とは」の中で述べたこととダブりますが・・・

「藍」は、藍染めとして有名ですが、染料以外の利用がずっと以前からなされていたようです。
一口に、「藍」といっても、その色素を含む植物は多く、日本だけでも、タデ科の蓼藍、アブラナ科の大青、キツネノマゴ科の琉球藍、また、アジア各地では、マメ科の木藍、同種のナンバンコマツナギ(別名アメリカキアイ)なども広く利用されています。




は、肌荒れ、冷え性を防ぎ、防虫効果があり、殺菌効果があるので包帯にしても良く、水虫を予防し、マムシをよせつけず、その上鎮静剤としての効果もあると昔からいわれています。


肌荒れや冷え性を防ぎ、殺菌性がある。

あせもやかぶれ、皮膚病や水虫などにも殺菌効果があり、藍染めの下着や靴下・足袋が重宝されています。
その殺菌性の効能ゆえに、怪我をしたときの包帯に利用していたことは、子供の頃ながら今でも覚えています。

私は、白癬・水虫はないのですが、絹の5本指靴下を藍染めしたものを時々穿いていますが、足指間がすっきりして気持ちがよいと感じています。
いくら藍染めをするからといって、一応女ですから、まさか肌着までは藍染めではありませんが、夏場の大汗をかく時節は、藍染めのTシャッツを着るのですが、ほんとうに汗疹はできませんね。 それに、汗臭さがさほどありません。

また、冬場に藍染めのTシャッツや服は、何だか冷たそう! 寒そう! と、感じるかも知れませんが、これが案外暖かいのです。
冷えを防ぐといわれていることもあたっているのかもしれません。

こうしたことから、昔の装束や大切な教典なども、藍で守られ、今に残っているのですね。
藍染めの下着を着ると汗臭さが無く、しかも温かい。 肌荒れを防ぎ、冷え性にも効果的と言えます。
むかし武士達は戦場に行くとき下着は藍染めであったのも、古来から藍の持つ効用のゆえなのでしょう。


衣類や和紙の防虫用 ・身体を守る。

防虫として、藍で濃く染めた布や紙は虫を寄せつけないと言われ、ヘビなども近寄らないために、野良着やモンペ、足袋など仕事着に藍染めが用いられました。
藍染めのきものをタンスに入れておくと、ナフタリンなどの防虫剤を入れる必要は確かにありません。
大切な物は、ウコン藍染めの風呂敷に包んでいます。
染めた布や糸も、紙に包んでダンボールの中で寝せていますが、防虫剤なんて必要はありません。

しかし、ある夏、すべて藍染め尽くしで野良仕事をしていて、出ている部分は特にひどく、何百匹の蚊に刺されたことがあります。
作務衣の上からも刺され、自分で染めた物だけに、ちょっとショックでしたけど。
蛇は、こちらから仕掛けなければ、向こうも襲ってはこないでしょう。 
とにかく、蛇を怖がらせるようなまねをしなければ、いきなり咬まれるということはないと伯母が申しておりましたが・・・
最近、我家の夏場は、「山カカシ」という毒蛇が出るようになり、野良仕事の最中は特に気をつけています。

体を守る効果は、蚊帳、ゆかた、のれんなどに利用されています。
藍染めの暖簾や間仕切りをしていても、隙間から蚊は入ってきますが、さすがに蚊帳の中には入ってはきません。
安心してぐっすり寝ることが出来ます。
我家は、麻の蚊帳ではなく、「手紡ぎ手織り綿のもじり織り」の藍の蚊帳を利用していますが、晩秋まで蚊が飛んでいるので、適当に風を通し、しかも、晩秋は暖かい空気の膜で覆ったようになります。
もちろん、自分で染めた手縫い品なんです。
きりっとした涼しげなイメージではなく、手紡ぎ糸ですから布が絡み合って、空気の層が出来ますので、どちらかというと冬に利用したい藍染の蚊帳なんです。

虫にさされた場合は、藍の葉の汁をしぼって患部に塗ります。 
刺された患部に汁を塗ると腫れが早く収まるとのこと。
しかし、虫刺されの薬がない場合のことであって、一度試しましたが、あまりにも痒くて、ムヒアルファEXのほうをぬりました。


解毒・鎮静剤として薬効がある。

薬用として、藍葉藍種は、ふぐ中毒の解毒に、また解熱用として感冒薬として、また、健康増進として使われていたようです。
藍種・藍葉は、煎じて飲めば健康増進に良いと言われています。
正徳2年(1712年)の「和漢三才図絵」の序の中に、藍の実には諸毒を解し、五臓六腑を整える薬効効果があると記されています。
そして昔の旅人は、藍葉を持って旅し、食あたりや熱冷ましに用いていたようです。
正徳2年(1712年)の「和漢三才図絵」の序の中に、藍の実には諸毒を解し、五臓六腑を整える薬効効果があると記されています。
そして昔の旅人は、藍葉を持って旅し、食あたりや熱冷ましに用いていたようです。
また、殺菌作用や解毒作用のほか、抗ウイルス作用があるほか、がん細胞を攻撃する作用があるといわれています。
これらに関する研究がなされたのは、かなり前の話で記憶が定かでないために参考資料を探してから記載することにします。


生地を強くする。

藍染めは糸を強くすると言われています。
昔の火消し装束、よろい、かぶとの紐、剣道着、等に藍染めが用いられました。

最近では、紫外線の遮蔽効果があることがわかり、研究されています。
人間に影響を及ぼす紫外線には、最も危険なオゾン層によって地球には到達しない100〜280nm(C)、やけどや皮膚病の原因となる280〜320nm(B)、日焼けや皮膚の老化の原因となる320〜400nm(A)などがあり、藍染めの絹を試料とし、実験したようです。 

実験の結果
(A)、(B)、(C)各波長の領域にてUVカットが最も低い値が記載されていましたが、紫外線遮蔽効果は、非常に薄い布の場合であっても「天然藍染」のタンニンとインディゴの関係により染色回数が増せば増すほど、効果が上がるということが分かったようです。 
また、シルクだけでなく綿、麻の場合も効果があります。




藍染の廃棄物から坑インフルエンザ物質、大阪の業者発見(2009年2月1日 朝日新聞)
アイ」の茎のエキスを調べてもらったところ、流行しているA型インフルエンザのウイルスの増殖を抑える効果があることがわかった。 
タデアイの葉は藍(あい)染めに使われるが、茎は捨てられている。 企業と組み、加湿器やマスクに利用するなど商品化を目指している。」と、記載されていました。


お茶

藍の効能は、古代より漢方薬として使われています。 
藍のお茶には、消炎、解毒、解熱、止血、抗がん作用、血圧抑制などの作用があります。
色は以外にもふつうのお茶の色をしています。
板藍根というのは、生薬名で、アブラナ科の植物、ホソバタイセイ(細葉大青)の根のことです。

板藍根とは江蘇省などで、日本には江戸時代に青色をとるための染料植物として中国から入りました。
解毒、解熱作用があり、風邪の諸症状を緩和するために中国では日常的に用いられています。 また抗ウイルス作用もあり、インフルエンザの予防にも利用されています。

そのほかにも、ウイルス性肝炎、扁桃腺、気管支炎など熱えお伴う病気の症状緩和に広く生かされたり、炎症を抑える効用もあることから、ニキビや湿疹、吹き出物、帯状疱疹にも効果があるといわれています。
板藍根は、中国の家庭では常備薬として一般的で、エキスを砂糖で糖衣錠のものがよく使われています。

お茶として飲むこともあり、板藍根を2〜6gを刻んで使用します。
日本でもエキスや飴、錠剤などの形でも市販されています。
ちなみに近所の薬局で、飴が1袋300円でした。


この名前がさらに広がったのは、SARS(重症急性呼吸器症候群)が猛威を振るった頃のこと。

2003年春、中国、香港などアジア一帯で猛威を振るったSARS対策として、一時は品切れになるほど板藍根が売れたと聞きます。
残念ながらSARSに対する作用ははっきりとしていないようですが。

大青葉はもともと藍染めの藍色色素に使われていたものが多く、抗菌、抗ウイルス作用が見られるという。
抗ウイルス作用をさらに強めるため、板藍根と大青葉を合わせて用いる場合もあるようです。
なお、大青葉を水に浸し、石灰などで処理してできる青い粉末状の色素は青黛と呼ばれ、殺菌作用や抗ウイルス作用があるほか、がん細胞を攻撃する作用があるといわれています。



藍の種のお茶の作り方

藍の種を1時間ほど弱火で焦げないようにホウロクで煎る。
後は、普通に薬草茶を飲むのと同じように、急須に入れて熱湯を注いで1〜2分ほど蒸らしてから、湯飲みに入れていただきます。
私は、薬草茶とか健康茶、また、ハーブティーもあまり好きではないため、あえて作って飲みたいとは思いませんが・・・
あまり、美味しくはありませんでした。



化粧品として

藍に含まれるポリフェノールフラボノイドのもつ抗酸化力で若さと美しさを保つことができるといわれています。
また抗酸化作用によって水虫菌の殺菌効果の報告もあり、古くから皮膚炎への利用がされており、水に溶かしてローションに向いているといわれています。

(株)林原生物化学研究所ではタデ藍の抽出液に強い美肌作用のあることを明らかにし、機能性化粧品の原料として「藍ルーロス」を2006年6月1日に発売をしました。

作用は、以下の作用が美白効果をもたらすそうです。
メラノサイトに直接働きかけて、メラニン生成を抑制するメラノサイト刺激物質を阻害することで、メラノサイトの活性化を抑え、メラニン生成を抑制する。


藍染めをするとき、ゴム手袋などはせずに素手で藍オケの中に入れて染めていますが、手は藍で濃い藍色に染まってしまいますが、アルカリにもかかわらず、手はその後もすべすべであることは確かです。
手荒れなど一度もおこしたこともなければ、ハンドクリームなる物は一度も使ったことはありません。
でも、歳をとるごとに手の甲にシミがチラホラとでて、気にかかるところなのですが・・・
メラニン生成を抑制するなら、是非にも利用したいですね。


タデ酢や紅タデ(刺身のつまとして供する)は、タデはタデでもタデ科の『ヤナギタデ』です。
『蓼食う虫も好き好き』のほうのタデです。
ヤナギタデはその全草を生薬「水蓼(スイリョウ)」と呼び、民間薬として用いられています。
血液凝固促進作用や、血圧降下作用を示すことが報告されています。
また、虫刺されの時は、生の葉をもんで塗布すると痛みや腫れがおさまります。
食あたりの時は、茎葉をすりつぶしたものに、おろしショウガを同量混ぜ合わせ、小スプーン1杯を服用します。
だから、刺身のツマとして利用されているんですね。
葉を水洗いして日陰で乾燥させたものを利尿・解熱に用い、暑気あたりの時は、濃く煎じて飲むとよいといわれています。


 

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